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Unlogical Systems

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    Unlogical Systems

    他社が作ったシステムの引き継ぎ・保守を依頼するときのチェックリスト

    前の開発会社が作ったシステムの保守を別の会社に引き継ぐときの手順を、資料・アカウント・ソースコード・環境の棚卸しから調査、リスク整理、保守範囲の合意、移行まで、確認項目の表とともに解説します。

    運用・保守6分で読めます

    この記事の結論

    • 引き継ぎの成否は、資料・アカウント・ソース・環境の棚卸しでほぼ決まります
    • 調査でリスクを見える化し、保守範囲と前提条件を書面で合意してから移行します
    • 一度に全部直そうとせず、止まると困るものから段階的に手を打つのが現実的です

    前の開発会社と連絡が取れなくなった、担当者が退職して誰も中身を知らない、契約更新を機に保守(公開後にシステムを安定して動かし続けるための作業)の依頼先を変えたい。他社が作ったシステムの引き継ぎを検討する理由はさまざまですが、共通するのは「今動いているものを止めずに、責任の所在を移す」という難しさです。この記事では、引き継ぎを依頼する側が押さえておくべき手順を、棚卸し、調査、リスク整理、保守範囲の合意、移行の順に整理し、確認項目を表にまとめます。

    引き継ぎでつまずきやすいところ(想定例)

    想定例:業務システムを作った会社との契約が終了し、別の会社に保守を頼もうとしたところ、ソースコードが手元になく、サーバーの管理者パスワードも前の会社しか知らないことが判明した。新しい会社は中身を見られないため見積もりが出せず、その間にサーバーの証明書が期限切れになった。

    原因の多くは技術ではなく、「何を持っていて、何を持っていないか」が把握できていないことにあります。引き継ぎの成否は、最初の棚卸しでほぼ決まると言っても過言ではありません。

    手順1: 資料・アカウント・ソース・環境を棚卸しする

    まず、自社が現時点で何を持っているかを一覧にします。

    区分確認項目手元にないときの影響
    資料要件定義書、基本設計・詳細設計の設計書、画面一覧、操作マニュアル仕様を推測で読み解くことになり、調査に時間がかかる
    資料過去の契約書、保守の作業履歴、障害の記録既知の問題や対応済みの事項が分からない
    アカウントサーバー・ドメイン・SSL/TLS証明書の管理画面へのログイン情報更新や設定変更ができず、期限切れで停止する恐れがある
    アカウントデータベース、メール送信、外部サービス(決済・地図など)の認証情報一部機能の調査や修正ができない
    ソースソースコード一式と、どの版が本番で動いているかの情報修正のたびに本番から取り出す必要があり、事故につながる
    ソース使用しているライブラリやフレームワークの一覧とバージョン更新の要否やサポート状況を判断できない
    環境本番サーバーの構成(OS、LAMP/LEMP などの構成、バージョン)同じ環境を再現できず、検証が難しい
    環境ステージング(本番前の確認環境)や開発環境の有無変更を本番でしか試せない
    環境バックアップの取得先、頻度、復元手順障害時に戻せない

    ドメインとサーバーの契約名義は特に重要です。前の会社の名義で契約されている場合、名義変更をしないと更新や解約ができません。契約の名義と支払い元を早めに確認してください。

    手順2: 現状調査で「動いている理由」と「壊れやすい所」を知る

    棚卸しで集めた材料をもとに、引き継ぎ先の会社が調査を行います。調査の目的は、機能を全部理解することではなく、保守を引き受けられるかどうかと、引き受ける際の条件を判断することです。

    主な調査内容は次のとおりです。

    • ソースコードの構成と、本番で動いている版が一致しているか
    • 使われている言語やフレームワークのサポート状況
    • 本番だけに存在する修正(手作業で直接書き換えられた箇所)の有無
    • 外部サービスとのAPI(システム同士の接続口)連携や、定期実行される処理の一覧
    • ログ、監視、バックアップが実際に機能しているか
    • 個人情報や決済情報など、取り扱いに注意が必要なデータの所在

    この段階の作業は、成果物が「調査報告」であり作業量が読みにくいため、準委任契約(作業時間に対して対価を払う契約)で進めることが一般的です。調査にかかる期間や費用は、システムの規模や資料の残り具合によって大きく異なります。

    手順3: リスクを整理し、優先順位をつける

    調査結果は、放置した場合の影響と対処の緊急度で分類すると判断しやすくなります。

    分類対応の目安
    今すぐ対処証明書やドメインの期限切れが近い、バックアップが取れていない引き継ぎと並行して先に手当てする
    早めに対処サポートが終了したソフトウェアで動いている、管理者パスワードが共有されている保守開始後、最初の作業として計画する
    計画的に対処設計書がなく改修に時間がかかる、テストの仕組みがない改修の機会に少しずつ整備する
    現状維持古いが安定して動き、変更予定もない箇所触らない判断も選択肢に入れる

    すべてを一度に直そうとすると費用も期間も膨らみます。「止まると困るもの」から順に手を打ち、残りは保守の中で段階的に改善する、という整理が現実的です。

    手順4: 保守範囲と体制を書面で合意する

    引き受ける側と依頼する側で、次の点を書面にしておきます。口頭のままだと、障害時に「それは範囲外」という行き違いが起きやすくなります。

    • 対象範囲: どのシステム、どのサーバー、どの外部サービスまでを見るか
    • 作業内容: 監視、バックアップ確認、セキュリティ更新、問い合わせ対応、軽微な改修のどこまでか
    • 対応時間と連絡手段: 平日日中のみか、緊急時の連絡先はどこか
    • 前提条件: 調査で見つかった既知の問題について、どこまで責任を持つか
    • 改修の扱い: 機能追加は別途見積もりとするか、保守の中で吸収するか
    • 契約形態: 月額の準委任契約か、都度の請負契約(完成に対して対価を払う契約)か

    特に「前提条件」は重要です。他社が作ったシステムの潜在的な不具合まで、新しい保守会社が無条件に責任を負うのは現実的ではありません。契約不適合責任(納品物が契約内容に合わない場合の責任)の考え方も、もともとの製作者と保守の引き受け手では異なります。既知の問題を一覧にし、対応の要否を決めておくことで双方が安心できます。

    手順5: 移行を段階的に進める

    合意ができたら、実際の移行です。一度に切り替えるのではなく、次のような段階を踏むと事故が減ります。

    1. アカウントと名義の移管を済ませ、前の会社のアクセス権を整理する
    2. ソースコードをバージョン管理に入れ、本番と一致させる
    3. バックアップの取得と復元を一度実際に試す
    4. ステージング環境を用意し、変更を本番前に確認できる状態にする
    5. 監視と連絡体制を稼働させ、初回の定期作業を実施する

    システム保守・運用サポートでは、こうした引き継ぎを前提とした調査から対応することが可能です。

    何を持っているか分からない状態が最大のリスク

    他社が作ったシステムの引き継ぎは、資料・アカウント・ソース・環境の棚卸しから始め、調査でリスクを見える化し、保守範囲を書面で合意してから段階的に移行する、という流れが基本です。技術的な難しさより、「何を持っているか分からない」状態のまま進めることが最大のリスクになります。引き継ぎを前提としたご相談はお問い合わせから受け付けています。

    一般的な情報であり、個別の事案は専門家・所管官庁にご確認ください。

    チェックリスト

    • ソースコード一式が手元にあり、本番で動いている版と一致しているか
    • サーバー・ドメイン・証明書の管理画面にログインできるか
    • ドメインとサーバーの契約名義が自社になっているか
    • 設計書や操作マニュアルの有無を確認したか
    • バックアップの取得先と復元手順が分かっているか
    • 既知の問題を一覧にし、保守の前提条件として合意したか
    • 保守の範囲・対応時間・連絡手段を書面にしたか
    • 前の会社のアクセス権を整理したか

    よくあるご質問

    ソースコードが手元にない場合はどうすればよいですか

    まず前の開発会社に納品物としての提供を依頼し、契約書に納品物の定義があるか確認してください。それでも入手できない場合は、サーバー上に配置されているファイルから復元できることもありますが、可否は状況により大きく異なります。

    調査だけを依頼することはできますか

    可能です。引き継ぎの可否や条件を判断するための調査は、作業量が読みにくいため準委任契約で行うことが一般的です。調査結果をもとに、保守を依頼するかどうかを改めて判断できます。

    前の会社と連絡が取れない場合でも引き継げますか

    資料やアカウントが揃っていれば、引き継ぎ先だけで進められます。揃っていない場合は、ドメインやサーバーの契約先に名義の確認を行い、手元にある情報から復元できる範囲を調査するところから始めます。

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    監修: Unlogical Systems合同会社杉並区・西荻窪)公開

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