この記事の結論
- LAMP と LEMP の違いは、Web サーバーが Apache か nginx かの一点だけです
- Apache は柔軟な設定と互換性、nginx は多数の同時接続と静的配信に強みがあります
- 選定は優劣ではなく、既存環境・アクセスの性質・運用体制で決めます
Web システムの見積書や提案書に「LAMP 構成で構築します」「LEMP 構成を推奨します」と書かれていて、何を指すのか分からなかった経験はないでしょうか。開発会社にとっては当たり前の用語でも、発注側への説明は省かれがちです。この記事では、LAMP/LEMP の構成要素と、両者の違いの中心である Apache と nginx の特徴を、用途の観点から整理します。
LAMP/LEMP の構成要素
LAMP/LEMP は、Web システムを動かすために必要なソフトウェアの組み合わせを、頭文字でまとめた呼び方です。それぞれの文字が担う役割を表にします。
| 文字 | LAMP | LEMP | 役割 |
|---|---|---|---|
| L | Linux | Linux | OS。サーバー全体の土台 |
| A / E | Apache | nginx(エンジンエックス) | Web サーバー。ブラウザからの要求を受け付ける |
| M | MySQL または MariaDB | MySQL または MariaDB | データベース。データを保存し検索する |
| P | PHP | PHP | プログラム言語。業務の処理を実行する |
LEMP の「E」は nginx の発音(エンジンエックス)から取られています。つまり両者の違いは Web サーバーが Apache か nginx か、という一点だけです。OS・データベース・言語は共通で、いずれもオープンソース(無償で利用でき、仕組みが公開されているソフトウェア)です。
Unlogical Systems でも、Web システムの標準的な構成として LAMP / LEMP を採用しています。長く使われてきた組み合わせのため情報が豊富で、担当者が変わっても引き継ぎやすいことが利点です。
Apache の特徴と向いている用途
Apache(正式には Apache HTTP Server)は、Web サーバーとしてもっとも長い歴史を持つソフトウェアのひとつです。
- 設定の柔軟さ:
.htaccessというファイルをディレクトリごとに置き、そのフォルダだけの設定を変えられる - モジュールの豊富さ:認証、圧縮、URL の書き換えなど、機能を追加で組み込める
- 互換性:レンタルサーバーや既存システムの多くが Apache を前提にしており、手順書や事例が豊富
- 処理方式:接続ごとにプロセスやスレッドを割り当てる方式が基本で、同時接続数が増えるとメモリ消費も増える
想定例:レンタルサーバーで運用していた WordPress サイトを、専用サーバーへ移す場面を考えます。使っているプラグインが .htaccess の設定に依存していると、Apache のままにするほうが移行の手間が少なく済みます。
Apache が向いているのは、ディレクトリ単位の細かな設定が必要な場合、既存の Apache 資産を引き継ぐ場合、運用担当者が Apache に慣れている場合です。
nginx の特徴と向いている用途
nginx は Apache より後に登場した Web サーバーで、多数の同時接続を効率よくさばくことを目的に設計されました。
- 処理方式:イベント駆動という方式で、少ないメモリで多くの接続を同時に扱える
- 静的ファイルの配信:画像・CSS・JavaScript など、そのまま返せるファイルの配信が得意
- リバースプロキシ:利用者からの要求をいったん受け取り、後ろにあるアプリケーションサーバーへ振り分ける役割を担える
- 設定の集中管理:
.htaccessの仕組みはなく、設定はすべて中央の設定ファイルに書く
想定例:キャンペーンの告知で一時的にアクセスが集中するランディングページを想定します。ページの大部分が静的ファイルであれば、nginx の得意分野です。
nginx が向いているのは、同時接続数が多い、静的ファイルの配信が中心、複数のサーバーへ振り分ける構成にしたい、設定を一か所で管理したい、といった場合です。逆に、ディレクトリごとの個別設定を頻繁に変えたい場合は、Apache のほうが運用しやすいことがあります。
PHP との組み合わせ方
PHP の実行方式は、Web サーバーとの組み合わせで主に二つに分かれます。
| 方式 | 組み合わせ | 特徴 |
|---|---|---|
| mod_php | Apache に PHP を組み込む | 設定が簡単。Apache のプロセスが PHP も実行する |
| PHP-FPM | Apache または nginx と別プロセスで動かす | Web サーバーと PHP を分けて管理できる。nginx ではこの方式を使う |
PHP-FPM は「PHP を実行する専門のプロセス」を別に立て、Web サーバーが PHP ファイルへの要求だけをそこへ渡す仕組みです。Web サーバーと PHP の設定を独立して調整でき、メモリの使い方も見通しがよくなります。Apache でも PHP-FPM を選べるため、「Apache だから mod_php」と決まっているわけではありません。
開発会社に確認するときは、「PHP はどの方式で動かしますか」「PHP のバージョンアップは誰が行いますか」の二点を聞いておくと、保守の範囲が明確になります。
選定の観点
Apache と nginx に、絶対的な優劣はありません。次の観点で照らし合わせると、自社に合う選択が見えてきます。
| 観点 | Apache が合いやすい | nginx が合いやすい |
|---|---|---|
| 既存環境 | Apache 前提の資産・手順書がある | 新規構築で制約がない |
| 設定の単位 | ディレクトリごとに細かく変えたい | 一か所で集中管理したい |
| アクセスの性質 | 同時接続は限定的で、処理内容が多様 | 同時接続が多く、静的配信が中心 |
| 構成 | 単一サーバーで完結 | 複数サーバーへの振り分けや前段に置く |
| 運用体制 | 担当者が Apache に慣れている | 担当者が nginx に慣れている |
想定例:社内の業務システムで、利用者が社員に限られ、同時アクセスも多くない場合を考えます。この場合はどちらを選んでも性能差はほとんど体感できません。決め手は「誰が運用し続けるか」になります。運用を外部に任せるなら、その会社が慣れている方を選ぶのが合理的です。
また、Web サーバーの選択よりも、ステージング(本番と同じ構成の確認環境)を用意できているか、アップデートの手順が決まっているかのほうが、長い目で見た安定性に影響します。構成の文字よりも、運用の設計に目を向けることをおすすめします。
構成の意味が分かれば、理由を聞ける
- LAMP と LEMP の違いは、Web サーバーが Apache か nginx かの一点です
- Apache は柔軟な設定と互換性、nginx は多数の同時接続と静的配信に強みがあります
- PHP は mod_php か PHP-FPM で動かし、後者はどちらの Web サーバーでも使えます
- 選定は優劣ではなく、既存環境・アクセスの性質・運用体制で決めます
提案書に書かれた構成の意味が分かれば、「なぜこの構成なのか」を開発会社に質問できるようになります。サーバー構成の相談は サーバー・ネットワーク構築 でも承っています。サーバーの選び方全般は サーバー選定の考え方 もあわせてご覧ください。
チェックリスト
- 提案された構成の各要素(OS・Web サーバー・DB・言語)を把握した
- 既存システムやレンタルサーバーとの互換性を確認した
- .htaccess に依存する仕組みの有無を確認した
- 静的ファイルと動的処理の比率を想定した
- 運用担当者が慣れている Web サーバーを確認した
- PHP の実行方式(mod_php か PHP-FPM か)と更新担当を確認した
よくあるご質問
LAMP と LEMP はどちらが新しいのですか
nginx のほうが後発ですが、どちらも現在広く使われています。新旧ではなく、用途と運用体制で選ぶのが一般的です。
途中で Apache から nginx に変えられますか
可能ですが、設定の書き換えと動作確認が必要です。特に .htaccess に依存する仕組みがある場合は、移行の手間が増えます。
WordPress はどちらでも動きますか
どちらでも動作します。ただしプラグインの一部は .htaccess を前提にしているため、nginx では同じ内容の設定を別途書く必要があります。
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監修: Unlogical Systems合同会社(杉並区・西荻窪)公開