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    小さな会社のためのRFP(提案依頼書)の書き方

    小さな会社が Web システム開発を依頼するときの RFP(提案依頼書)の書き方を手順で解説します。入れる項目の一覧、要件定義との関係、避けたい書き方を整理します。

    進め方6分で読めます

    この記事の結論

    • RFP は数ページで十分で、目的・現状・必須要件・制約が書けていれば機能します
    • RFP は要件定義の前段であり、細かな仕様まで書き切る必要はありません
    • 曖昧な言葉や機能の羅列より、困っている業務を具体的に書くほうが良い提案を引き出せます

    システム開発を複数の会社に相談したいが、「何を伝えればよいか分からない」「毎回同じ説明を繰り返している」。そんな状況で役に立つのが RFP(Request for Proposal、提案依頼書)です。大企業が使う分厚い文書を想像して構えてしまう方もいますが、小さな会社の RFP は数ページで十分です。この記事では、最低限の項目と書く手順、要件定義(システムに必要な機能や条件を決める作業)との関係、避けたい書き方を整理します。

    RFP とは何か、小さな会社にも必要な理由

    RFP は、「こういう課題があるので、解決策を提案してください」と開発会社に依頼する文書です。仕様書ではなく、提案を引き出すための依頼書です。

    小さな会社でも RFP を書く利点は三つあります。

    • 複数社の提案を同じ土俵で比較できる
    • 社内で「何のために、何を作るのか」の認識がそろう
    • 開発会社が前提を誤解したまま見積を出すことを防げる

    想定例:口頭で「顧客管理を作りたい」と伝えたところ、ある会社は名刺管理程度の提案、別の会社は営業支援まで含む提案を出してきた、という状況です。前提が違うので、見積の差が何に由来するのか分からなくなります。RFP に「現状は表計算で管理しており、困っているのは重複と更新漏れ」と書いてあれば、提案の方向がそろいます。

    RFP に入れる項目

    小さな会社の RFP に入れる項目を、必須と任意に分けて示します。

    項目内容必須/任意
    目的と背景なぜ今このシステムが必要か、達成したいこと必須
    現状の業務今の業務の流れ、使っているツール、困りごと必須
    対象範囲システム化する業務と、しない業務必須
    必須要件これがないと導入する意味がない機能・条件必須
    希望要件あると嬉しいが、なくても導入できる機能必須
    制約条件予算の考え方、希望時期、既存環境、利用者の規模感必須
    提案してほしいこと構成、進め方、体制、費用の内訳、保守の内容必須
    評価の観点何を重視して選ぶか(費用、実現性、保守体制など)任意
    進め方と期限質問受付、提案の締切、選定の時期必須
    窓口担当者と決裁者、連絡方法必須

    一つひとつは短くて構いません。合計で数ページに収まる分量が、書く側にも読む側にも現実的です。

    RFP を書く手順

    難しく考える必要はありません。次の順に書き進めれば、2〜3ページの文書としてまとまります。書きながら決めきれない項目が出てきたら、「未定」と明記しておけば十分です。

    ステップ1:目的と背景を一段落で書く

    最初に「何のために」を書きます。「受注処理の転記作業をなくし、ミスと残業を減らしたい」のように、業務上の目的で書きます。機能名から入らないのがコツです。

    ステップ2:現状の業務と困りごとを整理する

    業務の流れを、順番に箇条書きにします。誰が、何を使って、何をしているか。そのどこで困っているか。ここが具体的なほど、提案の質が上がります。現在使っている表計算ファイルや帳票があれば、見本として添付します(個人情報は伏せます)。

    ステップ3:必須要件と希望要件を分ける

    要望をすべて「必須」にすると、費用が膨らむか、提案側が優先順位を判断できなくなります。「これがないと導入しない」ものだけを必須にし、それ以外は希望に回します。判断に迷うものは希望にしておき、提案を見てから決めます。

    ステップ4:制約条件を書く

    予算については、上限や幅を書くか、書かずに提案を受けるかを決めます。書いたほうが現実的な提案が集まります。ほかに、希望する稼働時期、既存のサーバーやドメイン、連携が必要な既存システム、利用する端末(スマートフォンでも使うか)を書きます。

    ステップ5:提案してほしいことと評価の観点を書く

    「システム構成」「進め方と体制」「費用の内訳」「導入後の保守内容」「想定するリスク」など、提案書に含めてほしい項目を列挙します。加えて、選定で重視する観点を書いておくと、提案側が焦点を絞れます。契約形態(請負契約準委任契約か)の考え方も、提案に含めてもらうと比較しやすくなります。

    ステップ6:送付先を選び、質問期間を設ける

    送付先は、読み比べられる数に絞ります。質問を受け付ける期間を設け、ある会社からの質問と回答は全社に共有します。前提がそろうことで、提案の比較が公平になります。

    要件定義との関係

    RFP と要件定義は、役割が異なります。

    文書目的作る時期主に書く人
    RFP提案を引き出し、会社を選ぶ発注先を決める前発注側
    要件定義書作るものを確定する発注先が決まった後開発会社と発注側が共同で

    RFP の段階で細かな仕様まで書き切る必要はありません。むしろ、書き切ろうとすると時間がかかり、提案側の工夫の余地も狭まります。RFP には「困りごと」と「必須の条件」を書き、「どう解決するか」は提案と要件定義に委ねるのが、小さな会社にとって現実的な分担です。

    要件定義の後には基本設計・詳細設計(画面や処理の具体的な設計)が続きます。RFP は、その入り口にあたる文書だと位置づけてください。

    避けたい書き方(想定例)

    想定例として、提案側が困りやすい RFP の書き方を挙げます。

    • 機能の羅列だけで目的がない:「顧客一覧、検索、CSV 出力、権限管理」とあっても、何を解決したいのか分からず、提案が的外れになりやすい
    • 「使いやすく」「柔軟に」「最新の技術で」といった曖昧な言葉:受け取り方が会社ごとに違い、比較できない
    • 他社のサービス名で要件を示す:「○○のような画面」は伝わりやすい反面、その仕組みの前提まで引き継いでしまう
    • すべてが必須要件:優先順位がなく、費用の調整ができない
    • 制約を隠す:予算や時期を伏せると、規模の合わない提案が集まる
    • 現状の業務を書かない:提案側が業務を想像で補うことになり、要件定義でやり直しになる

    書き直すときは、各項目を「誰が、何に困っていて、どうなれば解決か」の形に置き換えると、伝わる文章になります。

    書く過程そのものが、社内の課題整理になる

    • RFP は数ページでよく、目的・現状・必須要件・制約・提案してほしいことが書けていれば機能します
    • 手順は、目的 → 現状 → 必須と希望の区別 → 制約 → 提案してほしいこと → 送付と質問期間、の順です
    • RFP は要件定義の前段であり、細かな仕様は提案と要件定義に委ねます
    • 曖昧な言葉と機能の羅列を避け、困っている業務を具体的に書きます

    RFP を書く過程そのものが、社内の課題整理になります。書き上げた RFP を 業務効率化システム開発 の相談に持ち込んでいただければ、そこから要件定義へつなげられます。書き方に迷う場合も お問い合わせ からご相談ください。

    チェックリスト

    • 目的と背景を一段落で書いた
    • 現状の業務の流れと困りごとを具体的に書いた
    • 必須要件と希望要件を分けた
    • 予算の考え方、希望時期、既存環境などの制約を書いた
    • 提案してほしい内容と評価の観点を書いた
    • 質問を受け付ける期間と回答の共有方法を決めた
    • 社内の担当者と決裁者を明記した

    よくあるご質問

    RFP を書かずに相談してもよいですか

    もちろん可能です。ただ、複数社に声をかける場合や、社内で認識をそろえたい場合は、簡単なものでも書いておくと比較がしやすくなります。

    RFP に予算を書くべきですか

    上限や幅を書くと、その範囲で現実的な提案が集まります。書かない場合は、提案の規模がばらつくことを想定しておきます。

    何社に送るのが適切ですか

    案件により異なりますが、読み比べられる数に絞るのが一般的です。多すぎると提案を比較する負担が大きくなります。

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    関連用語: RFP(提案依頼書)要件定義基本設計・詳細設計請負契約保守運用

    監修: Unlogical Systems合同会社杉並区・西荻窪)公開

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